飛躍の一年、圧倒的成長をみせた鈴木涼太がAクラス年間チャンピオンを獲得

JNCC 最終戦AAGP爺ヶ岳
日時:2019年11月3日
会場:爺ヶ岳スキー場
天候:晴れ
コンディション:ドライ
PHOTO&TEXT:アニマルハウス

国内最大級のクロスカントリーレースJNCC。2019年もついに最終戦を迎えた。今年はモトクロスを引退し、本格的にエンデューロに力を入れた馬場大貴が初戦を制し、波乱の幕開けだったが、最後は渡辺学が地力を見せて年間チャンピオンを決めた。一方、COMP-Aクラスでも虎視眈々と世代交代を狙う若手が着実にその存在をアピールした年になった。

最終戦まで激しいデッドヒートを続けた鈴木涼太と内嶋亮はここまで鈴木4勝、内嶋2勝。しかし鈴木は第4戦戸狩でノーポイントを喫しており、内嶋とのポイント差は決して油断できるものではない。

恒例となっているGNCCから招聘ライダー、今年はJoshua StrangとAndrew Delongの2名が世界最高峰の走りを魅せてくれた。

この日、鈴木涼太は明らかに乗れていた。スタートして一度は内嶋にパスされたものの、すぐに抜き返し、1周目をクラストップで通過。その後も大きなミスもなく14〜15分で周回をこなし、総合順位も徐々に上げていった。

対して内嶋はガレの登りで苦戦を強いられ、一周目には2度の転倒もあり、クラス3位に落ちてしまう。とはいえ、この時の2位を走っていたのはJEC IBクラスで活躍中の飯塚翼だ。

さらに内嶋はレース開始1時間ほど、4周目にも大きなクラッシュ、周回タイムを2分近く落としてしまう。

結果としては鈴木涼太がCOMP-Aクラスでただ一人11周を走り1位、年間チャンピオンを獲得。内嶋は2位に入りランキング2位となった。両名共に来年のCOMP-AAクラスへの切符を手にしている。鈴木は今大会も総合7位に入っていて、これは招聘海外ライダー2名も入れているため、日本人だけなら5位という事になる。COMP-AAクラスよりもスタートが遅いCOMP-Aクラスから5位に入ることは生半可なことではない。鈴木も内嶋も、来年はCOMP-AAクラスでの表彰台も十分に射程範囲に捉えているのだ。

鈴木涼太
TEAM STW
YAMAHA YZ250X
前:iX-09w GEKKOTA(ムース)
後:VE-33s GEKKOTA(ムース)

「今回はガレとウッズにタイヤを合わせ、フロントに柔らかいiX-09w GEKKOTAを選択しました。ウッズで滑るかも、と少し心配していたのですが、実際に走ってみると滑ったり流れたりすることなく、木の根で弾かれることもなかったので、正解だったと思います。

リアにはオールラウンダーのVE-33s GEKKOTA。ウッズではしっかり路面を掴んでグリップしてくれ、今回もタイヤにとても助けられました。これまでの経験からタイヤがもう少し耐えられることがわかったので、今回はアクセルを少し多めに開けて走るようにしてみました。

ですが、爺ヶ岳ということもあり、タイヤが石で切れてしまったようですので、次回からは中間の少し優しめなアクセルワークも必要だと確認することができました」

内嶋亮
DYNOCO
BETA RR2T200
前:iX-09w GEKKOTA(空気圧:0.65kgf)
後:VE-33s GEKKOTA(ムース)

「ほおのき大会での怪我の影響もあり十分な練習をすることができずにAAGPを迎えることになってしまいました。さらに会場入りが前夜になってしまい、下見も最低限という状況でした。

今回は鈴木選手がすごく乗れていて、明らかにスピードレンジが速かったですね。一周目に一度は追い抜いたものの、すぐに抜き返されてしまいました。転倒も多かったため途中からは2位フィニッシュに目標を変更し、なんとか2位でゴールすることができました。総合12位と不本意な結果ではありますが、様々な準備不足な状況で迎えてしまった最終戦としては妥当な成績かな、と思います。

今シーズン通して鈴木選手と高め合いながらランキング争いができ、Aクラスでありながらもプロ意識を持ちレースに臨み、エンデューロ業界で少しずつ内嶋亮という名前が浸透していくことが実感できました」