G-NET第3戦Mt.モンキースクランブル

G-NET全日本ハードエンデューロ選手権 第3戦
Mt.モンキースクランブル
日時:10月7日
会場:福島県チーズナッツパーク
天候:晴れ
コンディション:ドライ
PHOTO&TEXT:アニマルハウス

長いサマーブレイクを終え、ついに後半戦を迎えたG-NET全日本ハードエンデューロ選手権。この第3戦Mt.モンキースクランブルはチーズナッツパークの山を養生するため、数年に1度のペースでしか開催されず、難易度の高いハードエンデューロとして有名なレース。

今回も斜度がきつく、距離が長いロングヒルクライム「スーパー御柱」や、直登が難しく蛇行するようにキャンバーを登る「イシゲの涙」「人生下り坂」、斜度の急な下り坂「ゴロゴロ沢」など、多くの難関セクションが用意された。

しかし、前回開催されたレースから今回までの3年間でハードエンデューロ向けガミータイヤは格段に進歩している。特にiRCが発表したVE-33s GEKKOTAはまさにこのレースのためにあるようなタイヤで、会場でも多くのライダーが使用していた。この大会はG-NET戦ではあるが、その一方でコース作成者VS最新ガミータイヤという意味も持っていた。

昨年のG-NETチャンピオンであり、VE-33s GEKKOTAの開発ライダーでもある高橋博は、一周目をトップで走行中、コースを見失った結果ショートカットで周回してしまったことを申告。その時点でレース開始から17分経っていたことから+17分のペナルティを背負って戦うことに。それでも2周目以降、ハイペースでの追い上げをみせ、3位入賞。レースに「たら・れば」はないが、もしもペナルティがなければ優勝できていたタイムだ。

また、4位には熊本悠太が入った。Mt.モンキースクランブルは周回上限を6周とし、そこまでの周回タイムの合計で順位を決める特殊なルールを採用しているが、レース時間内に6周を回ることができたのはこの熊本までの4人だけ。熊本は1周目に22分57秒の最速ラップを記録するが、マシントラブルで高回転の吹け上がりが悪化、3周目からペースを落としてしまった。

若手有望株の泉谷之則はここでマシンを18式のRR2T300にチェンジ。4周を周回し、8位に入った。

高橋博
チームベータiRCエンジョイズ

BETA RR2T300
前:iX-07s(空気圧0.6kgf/㎠)
後:VE-33s GEKKOTA(空気圧0.26kgf/㎠)
「コース難易度も丁度よくて楽しく走ることができました。急な下りが一個あって、そこだけ少し心拍数上がりましたけど、そこまで難しかったところはなかったです。やはりタイヤの進化がめざましいですね。3年前にこのモンスクに出た時は普通のVE-33で走ったのですが、登りとかはそれでもよかったのですが、VE-33s GEKKOTAはガレもよくグリップするんです。ふかふかでもツルツルでもどっちもグリップするのでもう無敵でしたね。空気圧をかなり下げたので、移動路をハイスピードで走っている時に少しだけヨレは感じましたが、ヒルクライムではやっぱりこれくらいの方がよくグリップしますね。とにかく楽しく走ることができ、リザルトもミスコースをしてしまった割には良かったので、次の最終戦ではしっかり優勝してチャンピオンを決めたいと思います」

熊本悠太
Team BETA バイカーズベア

BETA X-TRAINER300
前:iX-07s(空気圧0.6kgf/㎠)
後:VE-33s GEKKOTA(空気圧0.35kgf/㎠)
「コースを下見して、難易度がこれまでのG-NET戦より高いと感じましたので、自分にしては空気圧を落として使いました。僕は移動区間の沢や根っこ、ちょっとした登りなんかでスピードをあげてタイムを稼ぎたいタイプなので、そこをスムーズにこなすことができたのがよかったですね。難所の中ではスーパー御柱というヒルクライムの中腹がちょっとガレてて、そこでちょっと失速してしまっても、VE-33s GEKKOTAだと岩盤の上でまた加速してくれるような感じがあって安心感がありました。あとフロントのiX-07sがやっぱりすごく優秀で、下りでよく刺さってくれて、みんなが押したり転んだりしててもスピードを出して避けながら走り抜けられました。今日はちょっとエンジンの調子が悪くて、高回転を使い続けると失速してしまいましたので、余力がなくて苦労しましたが、タイヤのおかげで悪くない順位に入ることができました」

泉谷之則
チームベータiRCシルバラード

BETA RR2T300
前:iX-07s(空気圧0.5kgf/㎠)
後:VE-33s GEKKOTA(空気圧0.3kgf/㎠)
「沢もヒルクライムもよくグリップしてくれました。下見をしていたらすごく急な下りがあって、押して降りようかと思ったのですが、フロントの空気圧をいつもより低い0.5kgf/㎠にしてみたらすごくグリップしてくれて、乗って降りることができました。タイヤの選択は間違いなかったです。今日は1時間半までキャブのセッティングが薄すぎて、エンジンがキンキンになってトルクが薄く、走りづらかったんです。給油のタイミングでエアスクリューで調整したら調子もよくなって気持ちよく走ることができました。ヒルクライムは、1周目は問題なく行けたのですが、2周目以降エンジョイクラスの方たちを避けて登る方法を見つけるのに時間がかかってしまいました。特に最後の「人生下り坂」ですか、あれと「イシゲの涙」ではスタックしている台数が多くて、曲がりくねりながら登っていくのが難しかったです」