装備の差が勝敗を左右?ナイトレースを制したのは万全の高橋博

G-NET 第5戦 信州大町ハードエンデューロ
日時:10月28日(土)
会場:長野県 信州大町チャレンジフィールド
天候:雨
コンディション:マディー
PHOTO&TEXT:ANIMAL HOUSE

「難易度の高いナイトレース」として設定され注目されていたこの大会。降りしきる雨の影響でコンディションは時間とともに悪化。夕方からのスタートのため、ゴール時には陽は落ち、予想以上に過酷な展開となった。

シリーズ5戦目ではあるが、うち2戦は会場の都合で中止となっているため、実質は3戦目となる。1、2戦目は高橋博(BETA)と熊本悠太(BETA)がともに、それぞれの大会で優勝、準優勝を1つずつ獲得しているため、同率首位の状態でスタートラインへ並んだ。

高橋博の備えとは?

竸技中に日暮れを迎えるため、あらかじめマシンの規定は「ヘッドライトを点灯すること」「エンジンをストップしても点灯するテールランプを装備すること」が義務付けられている。

2位に沈んだ熊本悠太は「夜のレースを舐めてました」と苦笑。夜間走行の対策は1000円程度の自転車用のライトをハンドルに装着。「日が暮れてきて、一度転倒したらハンドルのライトが無くなり、テールランプも点かなくなりました。ヘッドライトがあったので、走行はできましたが、ヒルクライムでは数メートル先が見えない状態でした。スピードレンジが高いので、真っ暗な闇の中に突っ込んでいく感じで、本来の走りが出来ませんでした」

一方、勝者の高橋博はナイターでの走りが勝負を分けると予想していた。「準備は万端に整えて行きました。大会が終わるまで内密にしていました。そのくらいナイターの装備は重要です」ヘルメットにLEDライトを合計3灯、角度を変えて装着。確実に視界を確保した。「今見ている視線のその先も確実に見えないと怖くてアクセルが開けられませんからね」

勝負の坂道「愛情一本」

開始後2時間経過、ラスト1時間を迎えた頃、辺りは暗闇に。同時に雨脚が強くなり、順調に周回を重ねていたトップライダーでさえ、グリップをしない粘土質の登り下りに行手を阻まれた。所々に潜む見えない石や切り株に細心の注意を払いながらの走行となった。
順位の決め手となったのは「愛情一本」と名付けられた名物の上りセクション。最後の周回で、このセクションを上ることができた2名、高橋博と熊本悠太が1位と2位という結果を残した。

5戦目に首位を獲得。シリーズチャンピオンに王手をかけた。#1高橋博

高橋博
BETA X-trainer300

フロント:ix-07s (空気圧0.65kgf/㎠)
リア:VE33(空気圧0.22kgf/㎠走ると0.27kgf/㎠程度)

「ロッシ(高橋博)さんに勝つには、力がまだ足りてない」と言うものの、連続チャンピオン高橋を脅かす存在へと成長した

熊本悠太
BETA X-trainer250

フロントVE35(空気圧0.60kgf/㎠)
リアVE33(空気圧0.50kgf/㎠)

#2和泉拓はレース中に腰痛が悪化。2周目で無念のリタイヤ

闇に包まれた轍のセクション。雨はライダーの体力を奪う

夜の表彰式。やり切った表情を見せる上位3名
1位高橋博、2位熊本悠太、3位山本礼人