JEC最終戦SUGOで前橋孝洋が最年少チャンピオンを獲得
JEC全日本エンデューロ選手権 第4戦 SUGO2DAYSエンデューロ
日時:2018年11月24、25日
会場:宮城県スポーツランドSUGO
天候:晴れ
コンディション;ドライ
PHOTO&TEXT:アニマルハウス
全日本モトクロスやJNCCのシーズンが終わってから開催される、このSUGO2DAYSエンデューロには、しばしば他のレースから有力ライダーのスポット参戦がある。今回も全日本モトクロスからIAの横澤拓夢、そしてJNCCからは今年のチャンピオン渡辺学が参戦し、大会を盛り上げてくれた。
第3戦日高2DAYSエンデューロが終わった時点で、前橋孝洋は2位の鈴木健二に7ポイント差をつけランキング1位に立っていた。昨年ランキング1位の釘村忠は日高の2ラウンドを欠席しているため、ポイントは大きく離れている状況。
前橋はDAY1最初のエンデューロテストで4番時計を出すが、次のエクストリームテストで13番。その後は5〜8番手で安定した成績を出していった。一方7ポイント差で前橋を追う鈴木健二は2〜3番のテストもあれば6〜9番のテストもあり、全体的にバラツキが目立つ。前橋はDAY1を7位で終え、鈴木との差は6ポイントに縮まったものの、勝負はDAY2へ持ち越し。
DAY2の朝は寒さからDAY1とのコンディションの違いに悩まされたライダーが多かった。前橋は大きなミスなくDAY2を6位でまとめ、チャンピオンの行方はファイナルクロスに。モトクロスIAがひしめく中、前橋はファイナルクロスを7位でクリア。わずか3ポイント差で逃げ切り、史上最年少で全日本エンデューロIAチャンピオンに輝いた。
また、それに続いたのは熊本悠太だった。ハードエンデューロでも結果を出してきている熊本はエクストリームテストで6番時計を出し、大きく順位をあげるものの、エンデューロテストやクロステストで苦戦し、DAY1を9位で折り返す。DAY2、全体的に調子をあげ、エクストリームテスト3ではついに5番時計もマーク。他のテストの成績もあげてきて8位、総合でも8位に入った。
IAルーキーの新沼光も健闘した。地元SUGOでのレースということもあったか、DAY1はほとんどのテストを10〜14番で走りきり、DAY2のクロステストでは3回の8番時計をマーク。ファイナルクロスでも9位に入り、総合10位という好成績を残した。ランキングは日高2ラウンドを欠席したこともあり、17位となった。
そして来年IAクラスを面白くしてくれそうなのがIBの飯塚翼だ。今年は保坂修一、齋藤祐太朗と三つ巴のIBチャンピオン争いを展開。2016年まで現役でモトクロスIBを走っていたライダーとして、ファイナルクロスのあるこのSUGOでは大きなアドバンテージを持っている。
DAY1、エクストリームテスト、クロステストで2回の1番時計を記録し、2位でDAY2へ。DAY2は3回の1番時計を記録。ライバルの保坂がクロステストで大きなミスをしたこともあったが、ファイナルクロスなしでも1位のタイムでDAY2を終え、総合優勝を手にした。これでIBクラス年間ランキングは3位。来年はIAへの昇格が決まった。
ウィメンズクラスには菅原聖子が参戦。DAY1のエクストリームテストで1番時計を記録したが、ライバルに阻まれDAY1は3位。しかし、DAY2では気持ちを切り替え、すべてのテストを1〜2番時計でクリアし、優勝。年間ランキング2位でシーズンを終えた。
前橋孝洋
モトクラブオープンエリア
KTM 250EXC-F
前:iX-07s(ムース)
後:BR-99(ムース)
「前日に雨が降ったものの大きな影響は無く、2日間共にコースコンディションはドライ。iX-07sとBR-99に合ったコンディションで、安心してテストを攻めることができました。
2日目の朝一など、磨かれてツルツルで硬く、慎重になる状況もありましたが、危ない場面もクラッシュもありませんでした。ルート内の沢や泥々のガレ場でもマシンコントロールがしやすく、シビアな操作を求められることなく走破できました。
今シーズンはずっとこのタイヤの組み合わせて走っていましたが、ネガティブに感じることはなく、どのコンディションでも安心してシーズンを通して戦い抜くことができました。ありがとうございました!」
熊本悠太
Team Beta バイカーズベア
BETA RR2T300
前:iX-07s(ムース/約0.8kgf)
後:BR-99(ムース/約0.8kgf)
「今回は前後新品ムースだった為、リヤは140タイヤに120ムースを入れることで気圧を落とす作戦を取りました。ルート、テストともほとんどの路面で滑る心配がなく安定してグリップしてくれるので落ち着いて攻めることができました。エクストリームテストでは短い加速からのタイトターンの連続でしたが、ここで特にコントロールを助けてもらえ、5番時計までとれました。
フロントがしっかり刺さってリヤが蹴り出してくれる最高の組み合わせだと思います。今回の出場メンバーでは上位に食い込むのが難しかったですが、部分的には勝負出来る要素もあり、楽しんでレースが出来たことが良かったと思います」
新沼光
Team Beta ストレンジ iRC
BETA RR2T250
前:iX-07s(ムース/約0.7kgf)
後:BR-99/140サイズ(ムース/約0.6kgf)
「各テストが硬質路面でしたので、フロントタイヤはiX-09wと迷いましたが、根っこや石が所々に埋まっていたためiX-07sを使用しました。根っこでフロントが逃げたり、石で弾かれたりすることもありませんでした。ただ、もう少し石や根っこが少なくなかったらiX-09wを使用していたと思います。07sと09wはこういった微妙な使い分けをできるので両方とも好きです。
リアのBR-99は他メーカーのFIM公認タイヤと比べてタイヤが分厚いので、リム打ちによるパンクのリスクは低いのですが、安全策としてムースを使用しました。路面が硬質だったため、ブロックで引っ掻き回すというよりもグリップさせることを意識して走りました。BR-99はブロックが低い代わりに面が大きいので、摩擦力も使って走れる感覚があります。そのため、特にクロステストでは楽しく走ることができました。また、面が大きい分、アスファルト移動も振動が少なくて楽でした。公道でも安心のタイヤです。
前後タイヤとも全域でグリップしてくれたおかげで、今期最高順位につけることができました。このセットはどこに行っても使えるベストな組み合わせだと思います」
飯塚翼
オレンジカウンティ幕張 with 成田MXパーク
KTM 250EXC-F
前:ix-09s(ムース)
後:BR-99/120サイズ(ムース)
「日高では初めてリアに140サイズを使ってみましたが、120サイズの方が相性が良いと感じたので、今回は120サイズでレースに挑みました。事前に用意しておいたムースが硬く、これでは走れないと判断し、貸していただいたムースでDAY1をスタートしたのですが、これが逆に柔らかすぎてリアがブレてしまい、2周目を終えたところでパドックに戻ってきた際にムース交換を行いました。ムースは滑川選手から貸していただいた柔らかい140のムースを120のタイヤに入れて走り、2日間とも良い状態で走りきることができました。タイヤは滑りそうな落ち葉のあったテストや、夜露で湿った路面でもスリップすることなくとても安心して走れました。
ファイナルクロスのスタートでも、出だしからかなりのグリップをしていて、ホールショットをとり、そのままトップでゴールすることができました。今回は目標であったクラス優勝ができたので良かったです」
菅原聖子
Flagship Racing
YAMAHA YZ250FX
前:iX-07s(空気圧0.8kgf/㎠)
後:BR-99(空気圧0.5kgf/㎠)
「DAY1でたくさん転倒してしまい沈んでましたが、練習してきたタイヤ交換を無事に終えられた事で、DAY2に向けての気持ちを切り替えるキッカケになったと思います。今回はビートストッパーを2個入れてましたが、時間には余裕がありました。
昔はホイールをタイヤから外すのにとても苦労していたのですが、iRCのタイヤはとてもタイヤ交換がやり易いです。雨上がりでやや湿ったエンデューロテストでも一発目から攻めて走ることができ、ルートの中の沢や根っこが出てきてた登りも全く問題無く、山遊び感覚で余裕を持って走ってました。自分の期待どおりのグリップ力で、タイヤに対する不安を持たずにDAY2は攻め切れたと思います。来期はムースで走れるようにするのが課題です」