マディの広島テージャスランチでJECが開幕、前橋孝洋は6位
JEC全日本エンデューロ選手権 第1戦 広島大会
日時:4月15日
会場:広島県テージャスランチ
天気:雨
コンディション:ウェット
PHOTO&TEST:アニマルハウス
例年よりも一ヶ月ほど早く開幕した全日本エンデューロ選手権。
天気予報通り、土曜の夕方から降り始めた雨がテージャスランチの難易度をあげる中、ライダーたちはロールオフゴーグル、ヘルメットバイザーの泥除け、レインウエアなどそれぞれのマディ対策をとった。雨の影響を鑑みて、一部コースも修正されることに。
グラストラック、沢などを組み合わせた1箇所のテストが用意され、IA、IBクラスには2周ごとに5分ずつ持ち時間が短縮される変則タイム制が採用。最後の一周25分設定はかなり厳しく、IA、IBともに下位のライダーでなくとも遅着ペナルティがついてしまったほど。
昨年のISDEワールドトロフィーチームで世界の走りを目の前にした前橋孝洋は、2周目のテストでクラス4位と好スタートを切った。しかし、他のランカーたちが周回を重ねるごとに着実にタイムを縮めていく中、思うように順位をあげることができず、最後の9周目でのミスもあり6位となった。
ゼッケン3の熊本悠太は地元広島での大会。勝手知ったるテージャスランチでしっかりとポイントを稼いでおきたいところ。2周目のテストで7位とまずまずのスタートを切ったが、そこからなかなかタイムを詰めることができなかった。1分のペナルティも背負い、10位。
トロフィーチームとして11月にISDEチリ大会に出場する荒川一佳はゼッケン14をつけての出場。すべてのテストで自身のゼッケンより上の順位をキープ。特に3周目、4周目にはシングルリザルトを記録した。レース中に右手人差し指を負傷するも大きくタイムを落とさずに周回。ラストラップでタイム制限が厳しくなったところで2分の遅着ペナルティをもらい、12位という結果。
IAルーキーの新沼光は、今年からサポートに回った和泉拓の店に残っていたというタイヤボールを実戦投入。3周目のテストでは12位を記録する好タイムを出すが、オフシーズンに満足な練習時間を取れなかったという新沼は、それがベストリザルトとなった。
また、IBクラスには飯塚翼がエントリー。十分にIAクラスでも通用するタイムで、2周目のテストで3番時計を出すと周回を重ねるごとにタイムを縮め、7周目、8周目には1番時計を記録。わずか7秒及ばず優勝を逃すもクラス2位でレースを終えた。
優勝した保坂修一とともに、昨年Nクラスでエンデューロデビューしたばかりだが、それぞれにモトクロスやクロスカントリーで経験を積んできたライダー。昨年までは「今後の成長が楽しみ」と言われていたが、すでにそのレベルは超越しており、来年IAクラスに上がればすぐにでも表彰台を狙える走りに日本中のエンデューロライダーを驚かせた。
ウィメンズでは菅原聖子がフルサイズであるYZ250FXを操り、クラスで唯一9分台のタイムを記録。4テスト中3つで一番時計を出し、接戦を制してクラス優勝を決めた。10月にドイツで開催されるFIM WOMEN'S ENDUROへの派遣に近づいた。
前橋孝洋
モトクラブオープンエリア
KTM 250EXC-F
前:iX-09w(ムース)
後:BR-99(ムース)
「やっぱりモトクロスIAの壁は厚いですね。ここから上にいくためにモトクロスの練習を取り入れたり、釘村選手と練習したりとかしてきましたが、およびませんでした。マディが苦手なこともありますが、もうちょっと上に行きたいです。次のコスモスポーツランドも石が多かったりと今回と似たコースなので、そういうところをしっかり走り込んでいきたい。
ルートで少しだけ苦労しましたが、ちゃんと合わせて行けばタイヤもグリップしてちゃんと登ってくれました。今回はフロントにiX-09wをチョイスしたのですが、濡れた岩で少し弾かれた印象があったので、iX-07sの方がよかったかも知れません」
熊本悠太
Team BETA バイカーズベア
BETA RR2T300
前:iX-09w(ムース)
後:BR-99(ムース)
「今回は欲張って転んだりテストでハマったり、前半のダメだなっていう気持ちをそのまま引きずってしまいました。中盤くらいからは全身攣ってしまって思ったような走りができませんでした。しっかり水分とったんですけど、痙攣が治らなくて。せめてオンタイムだけでも、と思ったのですが、タイムコントロールミスで1分のペナルティをもらってしまい、順位を一つ落としてしまいました。
タイヤは食わないところはなく、ルートもテストもよかったですよ。一気に開けるとスライドしてしまうし、ブレーキングも勢いよく入ると真横を向いてしまうくらいコンディションが悪かったのですが、感触は良好でした。高めのギアで合わせて行ったりもしてみたのですが、難しかったです」
荒川一佳
FFMC-岡山&SHELCO racing
SHELCO SE-R 250
前:iX-09w(ムース)
後:BR-99(140ムース)
「前半のテストではまずまずの走りができたと思います。中盤ペースが分かってきて、スピードをあげたのですが、些細なミスでタイムを詰めることができずにゴールしてしまいました。乗れていた感覚があっただけに、残念です。
フロントに関してはハイスピードからタイトコーナーで安定したグリップ感があって、とてもスムーズに乗れて助かりました。路面はスリッピーでしたが、マディでも埋まるような場所がなく、リアのBR-99も最後までいい仕事をしてくれました」
新沼光
Team BETA ストレンジモーターサイクル iRC
BETA RR2T250
前:iX-07s
後:BR-99(タイヤボール)
「今回、初のIAとしての参戦でしたが、ルートがすごく難しくて、しっかりやられてきました。でもタイヤは最初から最後までグリップしてくれてすごくよかったです。タイヤボールですけど、ムースとチューブの中間位の感じで、BR-99の組み合わせがすごくよかったです。入れ替えはちょっと面倒くさいですけど、すごくいいです。ちゃんとバネっぽさもあって。パンクもほとんどしないし、してもボールがいくつか潰れるだけなので、案外いいですよね」
飯塚翼
成田MXパーク with オレンジカウンティ幕張
KTM 250EXC-F
前:iX-07s(ムース)
後:BR-99(ムース)
「カチパン路面ではタイヤが回った分だけ走っていく感じがして、とても好印象でしたが、マディのレースではフロントが少し滑る感じがしました。リアはマディ路面でもしっかりグリップしている感じがして安心できました。レースが進み、コンディションが回復するにしたがってグリップが増し、後半の乾いた路面ではどんどんタイムを詰めていくことができました。次戦は前半からムラのないタイムをだし、優勝を狙いたいと思います」
菅原聖子
Flagship Racing
YAMAHA YZ250FX
前:iX-09w
後:VE-33
「今回はマディ路面にもかかわらず、フロントの接地感がすごくよくて、リアもどこでも滑ることなく、コーナーでもアクセルを開けながら曲がって、攻める走りができました。テストで一回増田選手を抜いた後、ずっと追いかけられた時に一番タイムが良くて9分台を出すことができました。ドイツのWOMEN'S ENDURO出場支援は、もし取れたら行きたいと思っていますので、また頑張ります」