JEC日高ツーデイズエンデューロ、ISDE帰りの前橋孝洋がDAY1を制し総合優勝
JEC 第3戦、第4戦 日高ツーデイズエンデューロ
日時:9月16~17日
会場:北海道日高町
天気:晴れ
コンディション:ドライ
PHOTO/TEXT:アニマルハウス
前日まで降り続いた雨のため、コースコンディションが心配された日高ツーデイズエンデューロだったが、当日は2日間とも快晴。渋滞するような難所が発生することはなく、近年まれに見る好条件のコースコンディションとなった。選手達は、初秋の柔らかな日差しに色濃く映える緑の木々間を、2日間でおよそ175km駆け抜けた。iRC勢は、規則でFIM規格のタイヤに限定されるため、ほとんど全員がBR99をベースにセットアップを試みた。
<Day1>
IAクラスでは、ISDEフランス大会から帰国して間もない前橋孝洋がトップを取った。小さなミスはあったもの、7回あるテストのうち4回で1番時計をマーク。トータルでは2位の釘村忠に26.21秒の差をつけ堂々の勝利。
熊本悠太はエクストリームテストでその真価を発揮。2番時計を叩き出し、3位。和泉拓もやはりエクストリームテストで4番時計、5位につけた。
IBクラスではトライアル仕込みの大神智樹とモトクロス仕込みの新沼光が同じ年齢同志の激しい戦いを繰り広げた。新沼は惜しくも大神に1分14.20秒差で準優勝となった。
今回特に熱い戦いを見せていたのはウィメンズクラス。1日の総合タイムでは、カナダのレクシィ・ピショーが1分22.62秒の差を付けてぶっちぎりの優勝だが、各テストでは2位の福田雅美が、1秒に満たないタイム差までレクシィを追い詰める場面もあるほど僅差の戦いもあった。
<Day2>
晴天の2日目。全日本クラスは初日のルートに加え、ショートループと言われるハードなロックセクションが追加され、朝の早い段階からタフなレース展開をみせた。Day1を優勝した前橋孝洋は、スタート時のミスでペナルティを受け、Day2を3位で終えた。2日間の総合順位は前橋がトータルで56.28秒釘村を上回り表彰台の頂点へ。
熊本悠太はDay2を8位で終え総合4位。和泉拓はDay2を9位、総合7位となった。また、SHERCO、SE-R250で参戦した荒川一佳はDAY1を13位、DAY2を16位で総合15位。
前橋は「結果的には大きくまとめられてはいると思いますが、今日はうまく乗れていないですね。朝、エンジンがかからないトラブルがあって10秒加算されたので、順番的には3番手になってしまいました。EDテストで転倒があって5,6秒落ちています」と冷静に見つめる。
IBクラスは初日と逆転。新沼が5.84秒の差をつけて優勝を勝ち取った。総合では初日の貯蓄が有効打となり大神に軍配。「もともと毛色の違う大神君を意識して、これまで走ってきました。すごく強いので、負けられないなっていう気持ちは常にあります」そう語るのは2日目に勝ちを取った新沼。次回の菅生戦にも注目したい。
注目のウィメンズクラスでは、レクシィ・ピショーが圧倒的なスピードで表彰台の頂点へ。激しい争いを見せていた2位争奪戦では、渾身の力を振り絞り、菅原聖子が地元北海道の強豪、福田に1秒差まで迫る。「接戦でした。去年は全然福田さんの相手にならないくらいの走りだったのですが、練習してきた事が出来たし、競技中にタイヤ交換も出来たし、負けちゃったけど大満足です」菅原は清々しい笑顔を見せた。
前橋孝洋
モトクラブオープンエリア
KTM 250EXC
前:iX-09w ムース(慣らし済み)
後:BR-99 ムース(慣らし済み)
「日高とタイヤのマッチング、とても良かったです。 ハイスピードな林道、グラストラック、川渡り、どこもしっかりとグリップしました。 林道や舗装路も多くあったので、リアタイヤの消耗が早かったのですが、タイムロスに繋がる程ではありませんでした。 安心して2日間ライディングが出来ました」
熊本悠太
Team BETA バイカーズベア
BETA RR2T250
前:iX-07s ムース(0.8kgf/㎠相当)
後:BR-99 ムース(0.8kgf/㎠相当)
「フロント、リア共に申し分の無いグリップでした。日高は二回目の参戦ですが、この組み合わせで間違いないと思います。
ゲレンデのテストでのキャンバーコーナーはフロントのix-07sがしっかりグリップしてくれるのでコーナリングが安定します。林道の砂利のような路面にも良いですね。 リヤはチューブにしようか迷いましたが、やはりムースで正解でした。パンクのリスクが無いですしね。今回のドライなコンディションでは、ルートでスタックする心配は無かったですし、グリップしないと思う場面はまったくありませんでした。 ホントにいつもタイヤに助けられてます」
和泉拓
Team Beta ストレンジiRC
BETA X-TRAINER250
前:ix-07s ムース(新品)
後:BR-99 ムース(新品)
「BR-99はグラベル(非舗装路)のスライド特性がすごく良いですね。林道の進入から立ち上がりまで、逆カウンターで走るととても楽しいです。
タイヤを使い切るつもりで1日目はガッツリ走りました。楽しんで走って、1日の終わりに交換。2日目も新品で、気持ちよく走りました。使い切っても、グリップが落ちることはありません。BR-99でIAやIBのセクションを走っても何も問題が無い。みんなが行き詰まっているところも楽しく行かせて頂きましたよ。よくグリップします。特にタイヤの苦手なところは感じなかったですね」
新沼光
Team Beta ストレンジiRC
BETA RR2T250
前:ix-07s ムース(0.5~0.6kgf/㎠相当)
後:BR-99 ムース(0.4~0.5kgf/㎠相当)
「どこに行っても、どんな状況でも前に進んでくれるタフなタイヤだと思います。タイヤ交換はコンパウンドが柔らかいので、やり易いです。今回初めて競技中にタイヤ交換をやりましたが問題無く時間内に出来ました。
マディ対策でタイヤを潰しやすい選択をしました。今回はドライでしたが、柔らかいおかげでどのテストでもしっかり地面をとらえてくれて、好成績に貢献してくれました。柔らかめのタイヤを選んだことによって、石が埋まっているエンデューロテストやエクストリームテストのガレ場でも跳ねること無く、安心して走れました。どんなコンディションにも対応できる組み合わせなのでJECのように様々な場所を走るレースでは特に相性が良いと思います」
荒川一佳
FFMC-岡山&SHERCO racing
SHERCO SE-R250
前:BR-99 ムース
後:BR-99 ムース
「日高では前後BR-99 を使うと決めて準備しました。1日目が終わり、リヤタイヤだけ交換しましたが、フロントタイヤは2日間通して使ってます。
過酷な条件下でもBR-99は安定感が良かったと思っています。レースの結果は上位へ入れませんでしたが、決して走りは悪くなかったと思っています。来年もリベンジ出来ればBR-99を選んで走りきりたいです!」
菅原聖子
Flagship Racing/Team SPEED
YAMAHA YZ250FX
前:ix-07s ムース(慣らし済)
後:BR-99 ハードチューブ(Day1: 0.6 kgf/㎠/ Day2 :0.54kgf/㎠)
「リアのグリップは良かったです。フロントは柔らかめのムースを使ってしまったので、もう少し堅めのムースの方が良かったかな、と思いました。タイヤは湿った牧草地、ロックセクション、川、林道、どこでもグリップしてくれて安心感がありました。タイヤ交換はとてもやり易いです。ビードが柔らかいので、腕力がなくてもレバーが入りやすかったです。ハードチューブを使っていたのですが、簡単にできましたよ」