テネシーノックアウトに再挑戦! 和泉拓はTKO1まで、高橋博はLCQまで駒を進め、惜しくも決勝進出ならず
Tennessee Knock Out Extreme enduro
日時:8月12~13日
会場:アメリカ テネシー州トライアルトレーニングセンター
天候:晴れ
コンディション:ウェット
PHOTO&TEXT:稲垣正倫(Enduro.J)
Team iRC JAPANとして高橋博・和泉拓の2名でテネシーノックアウト(TKO)に参戦するのは今年で2回目。物流のトラブルによって体制に不備の多かった昨年とは打って変わって、万全の体制を整えて挑んだ今回。選手は木曜日からテネシーに入り、2日かけて車両を整備し、入念に準備をおこなった。また、事前にタイヤテストを重ねて、TKO専用にセッティングされたスペシャルタイヤを持ち込み、毎ヒートごとにタイヤを入れ変えた。
TKOのルールは、いわゆる勝ち抜き戦。
予選にあたる2ラウンドを経て、勝ち抜いた者だけが最後の15名でおこなわれるファイナルTKOを走ることができる。全ラウンドが、無酸素運動を中心とする休みのないエクストリームエンデューロで、朝いちの順番決め「ホットラップ」からフルに筋力を稼働させられるレースが続く。今年のテネシーは気温も低く30度付近のレースになったが、例年は38度まで上がることもあり、過酷きわまりない全米を代表するエクストリームエンデューロと言えるだろう。
ホットラップ
2年目の参戦で注目を集めるTeam iRC JAPANの二人は、見せ場の多いエンデューロクロス的なインフィールドから、ショートコースへ。おおよそ20分程度の短い順番決めのヒートではあるものの、著しく体力を消耗するもの。高橋18位、和泉37位の結果に。高橋は「僕の後ろで結構詰まってしまっていたので、だいぶ順位を出せた」とのこと。和泉は「普段しないようなミスを何度もするほど、一気に体力を奪われる」とハードさを実感する。
TKO1
事実上、予選第1ヒートと捉えられるTKO1は、1名ずつのタイムトライアルで16マイルのロングコースを走る。25名がTKO2へ進み、26-29位はLCQ(ラストチャンス・クオリファイ)へ進む。30位以下は敗退だ。
高橋は、順調にレースを運ぶが「ずっと3人くらいに後ろをつかれていて、ラインの先導役のようになってしまっていましたね。中盤でパスされてしまった。それ以外には抜かれていないので、だいたい20位前後かなという手応えがありました。沢でリアブレーキペダルをステップ付近まで曲げてしまい、下りのコントロールを失ったままに我慢のレースを強いられたのが悔しいところですね」と言う。当初のリザルトはそのとおり20位。しかし、タイムトライアルであるため、後方からスタートしたライダーのタイムにつめられ、最終的には29位の結果に。LCQへと進むことになった。
和泉も「川までは一度も転倒していない」だけあり、相当スムーズなレースを続ける。「何人抜けば、とか考えたらいつもの走りができなくなる。普段通り、攻めるだけ」と事前に気合いをいれる和泉だったが、川セクションで運悪く水没。エンジン内に水が入ってしまう。
水没の復帰は、特殊な動作が必要だがエンデューロに親しんだ和泉は20分ほどでレースに復帰。しかし、この20分は16マイルのコースでは致命的な遅れとなり、和泉の挑戦はここまでとなった。
「水没は、運ではなく自分のミス。川底は濁って見えず、さらにとんでもなくスリッピーだった。落ち着いていけば難しくはなかったが、悔しいね。マシンも今回は完璧になっていたし、万全の体制だった。水没せずにうまくことが運んでも、30位付近だっただろうし、TKO2に進めたとしてもそこで戦えるほどの体力は残らない。タフなレースだ」と和泉は言う。
LCQ
首の皮一枚で望みをつなげた高橋。LCQはおおよそ50mのエンデューロクロス的な直線を往復する超スプリントで、2名ずつのトーナメントラウンド。ここで高橋は、ヒート1を勝ち抜いたものの、ヒート2でミス。思い切り場を盛り上げたこともあってか、主催者は「もう1名TKO2へ進めよう」と30-32位+高橋の4人でもう一度LCQをおこなうと宣言。高橋もこれに応じるものの、またもやファイナルで惜敗。主催が「高橋は、コディ・ウェブ(優勝したライダー)よりも記憶に残るだろう」と冗談を言うほどの、熱狂に包まれた。
高橋は「TKO1後に、思い切り短距離走を何度もやらされる感じ。腕の筋肉は限界まで達してました。TKO1は通過できたかと思ったんですが、世界は甘くないですね。コースはそこまで難関という感じではなくて、アメリカンの林道区間の速さに驚かされました」と語る。